オレンジデイズ
4月14日。玄関のまん前で体育座りして、膝にあごを乗せてぼんやりと曇り空を見つめていた。
遠く遠くから銀の糸がぽたりぽたり、そうやって落ちてくるという天気予報は午前8時30分からとのこと。
今は8時ジャスト。学校へ行かないといけないけれど、あいつが迎えに来てくれるまでは行きたくない。
でも、今日は来るか、な?
昨日思い切り彼を突き飛ばしたとき、いってしまった言葉を思い出して反芻する。
『私のことなんか、わかってないくせに!!』
人間なんだから、他人のことなんか分からないことのほうが多い。
当然のことなのに。
昨日学校をサボったのを心配して、プリントを持ってくるのを口実に私の家までわざわざ来てくれた彼の優しさにつけいって、私は彼を傷つけてしまったのかもしれない。
優しい彼の事だから、きっと気にしている・・・ただ幼馴染だというだけなのに、それだけの縁なのに、わがままで消極的で怖がりな私を、気にしてる、と思う。
何でだろうな、私なんて気にしたって。
そう思う自分と、
嬉しいな、構ってくれる。
って思う自分がいる。
要は私は寂しいのかなぁとぼんやり思う。けど。
寂しいからって彼を巻き込んじゃっていいのかな?
いつだったか、学校で担任に面向かって言われたな。
「君はなんて出来の悪い子なんだろう。もう何をしたって無駄だよ」
いま思うと教師として、いや人間としてどうかしている奴だったなと思うけれど、奴がいってたことは正論といえば正論だった。
私はダメな子。勉強も運動も、他にはお裁縫とかお喋りとか。
何にも出来なくって、社交性もなくって。だからクラスの中心にいるあの子や、彼が、羨ましくて仕方がない。
最初は私に優しくしてくれた子はたくさんいた。
皆、いい子だった。
警戒心がかなり強い私に根気強く話しかけてきてくれた。嬉しかった、とても。
けれど話していくうちに、仲良くなるうちに、私はだんだん孤独になっていった。
原因は私にある。
ほめようと思ったのに口から出た言葉は正反対の性質を持つもので。
『違う、けなそうなんて思ってない! ゴメンね、すごいっていう事を伝えたかっただけなの!』
それを伝える事すら叶わなくって。私に良くしてくれた子は皆、私の前から消えた。
そうだよね、そりゃ、そうだよね。
自分の話をけなす子なんて、一緒にいても気分悪いよね、嫌なだけだもん。
―――今日は、もう学校には行かない。 ・・・・これからも。
傍らに置いたリュックを拾い上げ、玄関を開けようとドアノブに手をかけると、後ろでバタバタという音がした気がした。
「カリン!」
ああ、ずっと聞きたかった声、聴きたくなかった声。
足音は私の後ろで止まった。
少し呼吸が荒いのが聞いて取れた。
「ゴメン遅くなって。ほら学校、いこう」
きっと彼は手を伸ばしているだろう。私が後ろを振り向けば、にっこりと笑いかけてくれるはずだ。彼はそういう人だから・・・・
「・・・・バカ・・・・・」
ドアノブに伸ばした手を止めて彼を肩越しに見ると、やっぱりほら、ニッコリ私に微笑みかける。
その顔が滲んで見えてしまうのがちょっぴり残念で。
「泣くなって」
彼はその大きな手で、私の頭を髪がくしゃくしゃになるまでなでる。
少し不安だけど、彼のこの手が私の心を満たすから。
だから、大丈夫な気がするんだ。
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ハロハワユを聞いてたら書いてました^q^
サイトに転載するかもです。笑
ちなみに4月14日は「オレンジデー」
日本では2人の愛を確かなものにし、オレンジやオレンジ色のモノを贈る日・・・らしいっす。
韓国では寂しい日みたいです苦笑
どこら辺がオレンジデイズやねんと言う。
転載するときには題名変えてるかもしれませんw